夕凪の街桜の国
製作年度 2007年/日本
監督 佐々部清
桜の国には未だに夕凪の街の憂いが続いている。
戦後に産まれ、戦争というものを本の中、語りの中でしか知らない世代こそ見ておくべき作品だと感じました。
只、毎日を懸命に生きていた。それだけなのに、何故こんなに簡単に死んでしまわなければならなかったのか?
現在である桜の国と原爆投下13年後の夕凪の街。
このふたつの時代の描写に違和感と温度差を感じていらっしゃ方もいるようですが、私的にはとても深く絡み合っていたように思います。
50年も経って尚、原爆は広島の人々に暗い影を落としているのだと訴えるのに必要な描写であったと思いました。
夕凪の街では我が子を失った悲しみを必死に押し殺し、懸命に生きていた母が桜の国の病の床で娘の友達と見間違えた孫に向かって吐露する本音。
「なんであんたは助かったの?翠は帰ってこうへんのに…」
なんで死ぬのが我が子でなくてはならなかったの?あなたでも良かったのに… 暗い心が描かれる。
彼女の中ではまだ原爆が彼女の大切な人を奪い続けている。
夕凪の街では生き残ってしまった自分が幸せになってはいけないと、頑なに結婚を避けていた娘がいて、原爆症で死んでいく。
桜の国では身内に被爆者がいるというだけで、幸せになりたいのに結婚を諦めなければならないという現実がある。
「いつ死んでもおかしくないって思われてるのかな」
私も、幸せになんてなれないのかな…
心のどこかに巣食っている、桜の国の娘の憂い。
それでも…
「長生きしてね。私のこと、忘れないで…」
夕凪の街の娘が託した生き残った人々への願い。
私の分も死んでいった人たちの分もいっぱいいっぱい、
幸せになってね───
2度と、こんな悲劇を繰り返してはいけない。
現に、まだ核の開発は行われ続けている。
第二のヒロシマ・ナガサキを作らないためにも、戦争も核もこの世から根絶されなければいけない。
強い反戦メッセージが込められ、心に深く響いてきました。
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