女帝「エンペラー」
製作年度 2006年中国/香港
監督 フォン・シャオガン
この世で最も恐ろしい毒
それは『人の心』
作中に出てくる言葉です。その言葉が、この作品の全てを語っている。
恋仲であった皇太子と添えることなく、彼の父である皇帝と結婚し皇后となったワン。
自らの愛を押し殺し、愛する人の義母として生きる覚悟をしていた。
しかし、夫である皇帝は実の弟に殺され、その弟はワンを妻として欲した。
彼女は決意する。新皇帝の手から皇太子を守るため、そして夫の復讐のために妻となることを。
皇帝の寵愛を得るために、彼女は演じる。
私は欲深い女。あなたが私に与えてくれるものはとても甘美よ…
彼女に囁かれ、その類稀なる美貌と妖艶な微笑みに皇帝は心酔する。
自分の力を誇示するために必要であった前皇帝の妻。
だが、いつしか皇帝は彼女の手の平で踊りだす。彼女を愛し始めていく。
そして、変わっていく皇帝に彼女の心は変わり始める。
復讐の筈だった。しかし、皇帝さえも意のままに出来ると確信を深めた彼女は復讐そのものよりも権力の魅力へと取りつかれ始める。
その権力で嘗て愛した皇太子をも手に入れたいと願い始めてしまったのだろうか…
人の心 それは何よりも強い毒性を持ち、使い方次第で破滅へと誘っていく。
とは書いてみたものの、上記は映画を見終わった後に色々と考えを巡らせた末に自己流の補完でもって感じた印象です。
登場人物の心の動き、変化は少々感じ取りにくい作品だったのです。
その行動へ移る為の動機、心理描写等が希薄なために観客は納得出来ないまま、強引に次の場面へとつれていかれるといった具合。
ですが、インテリアの細部にまで拘ったセットの作りや美しい衣装。
まるで舞踊を見るような戦闘シーンの殺陣や派手なワイヤーアクションは迫力満点でした。
少々ワイヤーアクションを多用し過ぎてありえない画になっている場面が気にはなるものの、慣れてしまえば許容範囲。
そして何より、チャン・ツィイーの美しさ!
傾国の美女といった風情の妖艶さが見事に全身から滲み出ていました。
彼女のファンならば、彼女を見るためだけでも映画館に足を運ぶ価値はあるのではないでしょうか。
ストーリーの練りこみは少々難がありますが、それなりに楽しめる作品でした。
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